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【映画】戦友の家族の死をきっかけに、再開した3人は何を思うか?『30年後の同窓会 LAST FLAG FLYING』【感想・紹介】

こんにちは、カムです。

『30年後の同窓会 LAST FLAG FLYING』という映画を観ました。

私の大好きなリチャード・リンクレイター監督の2017年の映画で、まだ観ておらず、ちょうどアマゾンプライムで無料になっていたので、この機会に視聴。面白かったので感想などを書いていこうと思います。

※重大なネタバレはありませんが、作品の内容には触れているため、ご注意ください(ちなみにこの映画はストーリーの展開が重要な物語ではないため、筋を知っていても十分に楽しめます)。

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あらすじ

元海兵隊員のサルが営む店『サルのバー&グリル』に、ある夜、1人の男が訪れる。サルは最初その男が誰か気づかないものの、「僕を忘れたか?」という男の言葉で、ベトナム戦争時代、海軍衛生兵だったドク(ラリー・シェパード)であることを思い出す。久しぶりの再会を喜び、店のソファーで眠り込むまで、酒を飲む二人。

翌朝、「見せたい物がある」というドクの提案で、2人は自動車で教会に。無神論者のサルは拒否感を示すが、ドクは「絶対気に入る」と言う。教会に入ると、ちょうど黒人の牧師がスピーチをしており、サルはすぐにその黒人が酒飲みで博打好きだった元海兵隊員のミューラーであることに気づく。

ミューラーは旧友の2人を歓迎し、ディナーに招待する。ディナーの際、お互いに身の上話をする中、突然ドクが2日前に息子のラリーがイラク・バグダッドで戦死したことを明かす。

言葉を失うサルとミューラーに、ドクはイラクから送られてくる息子の遺体を一緒に葬ってくれないかと頼む。2人は承知し、墓地へと移送するため、ドクの息子の遺体を引き取りに空軍基地に向かう……というのが本作の流れです。

主要人物紹介

『30年後の同窓会』はタイトル通り、3人の元同僚が長い年月を経て再会し、旧交を温めるという物語です。

ここではその主要人物であるサル、ドク、ミューラーを紹介していきます。

サル

がさつな性格で、飲んだくれのバー経営者。神を信じておらず、牧師になったミューラーとたびたび意見が衝突する。店のカウンターに置いてある無料のアメを遠慮なく大量に持っていったり、二日酔いで寝ているドクの顔にピザをぺちぺち当てるエキセントリックな一面も(笑)。冗談好きで、女好き。唯一の居場所だった海兵隊に未練がある。

ドク

短い間に最愛の妻と軍人の息子の両方を亡くす。懲戒で海軍を除隊され、過去に2年間服役している。現在は海軍の売店の仕入れ担当。

ミューラー

元博打好き・アルコール依存症・殴り屋・スピード狂。現在は改心し、牧師に。脚が悪い。たまに本性が出て口が悪くなる。悪さばかりしていた海兵隊員時代をよく思っておらず、その記憶を呼び起こさせる2人に最初は非協力的。

私は最初ホラーなのかと思いました

プライムビデオのジャンルには「コメディー」って書いてあったんですが(なんでコメディーなのか謎。笑)、私は「なんかこの映画ホラーっぽい…」と冒頭で思いました。

どうしてかというと、旧友のドクがいかにも怪しい雰囲気を放っているからです。物静かで口数が少ないうえに、いきなり妻や息子が亡くなったことをサルやミューラーに告げて、場の空気を凍らせます。しかも、サルが自分の居場所をどうやって知ったかと聞いて、「今はネットで誰でも見つかるからね」と返します(怖っ!)。

さらに話を聞くかぎり、ドクが海軍を除隊され、服役する羽目になったのには、サルやミューラーにも原因があるとのこと。「息子の軍葬に付き合ってくれってドクは言ってるけど、これは昔の恨みを晴らすために近づいてきたのでは…」と、1人でちょっとドキドキしました。

またドクが息子の遺体と対面するとき、カメラはサルとミューラーのほうを映しており、ドクが遺体と対面している様子はたまに遠写されるだけ。「本当に息子の遺体はあるのか…」とホラー脳の私は、疑いました(笑)。

実際、ホラーだったかどうかは……ぜひご自分で視聴してお確かめください!

サルとミューラー喧嘩しすぎ!

とにかくサルとミューラーは映画の中でよく喧嘩しています。

ミューラーがドクに「妻と息子には天国で会える」と慰めれば、サルは「地図で示せよ」と口を挟みますし、損傷の激しい息子の遺体を見ることはお勧めしないとドクが空港基地の軍責任者に言われたときも、「大佐の忠告を聞け」というミューラーに対し、サルは「俺だったら絶対に見る」と意見が分かれます。

しかし、2人は本当に嫌い合っているわけではなく、ドクの手伝いのために一緒に行動しているうちに、次第に打ち解けていき、いつのまにか昔、悪友だったときのような関係に戻ります。それを示す1つのエピソードに、ミューラーがサルから(あちこちの店のカウンターから持ってきた)アメを受け取るシーンがあります。最初サルがアメをあげようとしたとき、ミューラーは「虫歯になるから」と断りますが、終盤の斎場のシーンではアメを受け取り、仲良く2人でアメを舐めます。私はこの瞬間、2人の絆が再度固く結ばれたように感じました。

くすぶる軍や政府への不信感と対立

『30年後の同窓会』では、さまざまな出来事を通じて、3人が軍や政府への不信感をつのらせる様子を見ることになります。軍や政府は軍人を利用しているだけではないのか、「国のために、平和のために」という名目でその命をいいように使い捨てているだけではないのかといった疑念を3人は退役後に持ち始めるようになるのです。

特にドクの息子ラリーの死の詳細な状況が、現場にいたワシントン上等兵から知らされたとき、3人の不信感は確固としたものになります。軍は自らのメンツや誇り高いイメージを守ることばかり考えており、戦死者やその遺族に対して誠実ではないことを知るのです。

ラリーを軍人としてではなく自分の息子として埋葬したいと考えるドクは、信用できない軍に任せず、自分の力でラリーの遺体を故郷へ連れていくことを決意します。しかし、軍も諦めず、さまざまな方法で食い下がり、軍の威信が損なわれないやり方での埋葬をドクにさせようとします。こういったラリーの埋葬をめぐる軍との対立は、本作では重要な意味を持ちます。

過去に犯した罪の意識

しかし、サル、ドク、ミューラーの3人は軍や政府の被害者にすぎないわけではなく、現役時代にある罪を犯してもいます。現役時代、日ごろからドクのモルヒネを乱用していたサルとミューラーですが、そのせいで大きな事件に発展してしまうのです。

戦友との再会や、軍との対立がきっかけで、サルとミューラーは過去に犯した罪を強く意識するようになり、やがてその過去を清算することを決めます。3人の「同窓会」は単にお互いを懐かしみ旧交を温めるだけでなく、過去にやり残したことにけじめをつけるものにもなったのです。

軍人として死ぬか、軍や政府に疑いを持って生き続けるか

「海兵隊は命令されたら喜んで死ぬもの」とラリーの死を間近で見たラリーの親友であるワシントン上等兵は言います。ラリーも含め、現役の軍人はみんなその覚悟を持っています。しかし、退役した軍人(サル、ドク、ミューラー)はそうではありません。軍や政府の言いなりになって兵隊が死ぬことに疑問を抱きます。特にドクの場合、自分の息子がそうなってしまったのですから。

かといって、軍や政府のことを完全に否定はできない。それをすると国のために死んだラリーの思いが浮かばれないから。このジレンマは複雑で、やりきれないものです。私たちはこの映画を通し、こういったジレンマが私たちの日常の中でも珍しくないことを発見します。答えを出すことができなくても、時間はただ過ぎていき、過去の記憶だけが積もっていくということを。

総評

役者の演技はいいし、リチャード・リンクレイターならではのリアルな時間の流れを感じさせる撮り方も健在だし、大満足の映画でした!

個人的には上官に「(3人に)ほだされるなよ」と釘を刺されたワシントン上等兵が、サムの巧みな言葉でなし崩し的に気を許していく様子がツボです(笑)。

リチャード・リンクレイターの作品は他にもおすすめが多いので、いつか紹介できればと思います。それでは、今回はこのへんで!

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