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【前編】村上春樹の好きなところと苦手なところ 目で読むのではなく、耳で『聞く』作家

こんにちは、カムです。

最近、ここではない別の場所にいて、しばらく記事を書いていませんでした。

しかし、また戻ってきましたので、これからもお付き合いいただければ幸いです。

 

さて、今回は誰もが一度は読んだことのある(と思われる)作家・村上春樹についてのお話です。

私は村上春樹、好きか嫌いかと聞かれれば、「好き」と答えます。ですが、手放しで「好き」といえるわけではなく、「ちょっとこれはどうなの……?」という面もあります。

そこで、今回は私が思う村上春樹の好きなところと苦手なところの両方をあげていきたいと思います(※前編は好きなところだけの紹介です。後編はこちら)。

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文章がリズミカルで読みやすい

voltamax / Pixabay

私が村上春樹の小説で最も好きなところは「文章」です。

村上春樹の文章は子供でもすらすら読めるほど平易で簡潔です。文学作品は難しい表現をつかっていたり、一文が長かったりして読みにくいことが多々ありますが、村上春樹を読むうえでそういった心配はいりません。文章に慣れていない人でも、気軽に手にとって読むことのできる作家といえます。

私自身、文学を読み始めたころは村上春樹ばかり読んでいましたね。なにしろ読みやすいし、何が書かれているのかすぐ理解できる。それなら文学じゃなくてエンタメやライトノベルから読んでいけばいいじゃないかという話ですが、なぜか私は文学を読むことにこだわっていました。

あまりよくわかっていないくせに文学にしか興味を示さない。きっと面白い、今はわからないだけで、文学には底知れない魅力があるんだと、信じていた。ちょっと妄信じみていて怖いですが、こういう時があったからこそ、いま私は純粋に文学を楽しめているのだと思いますね。

話を戻しますが、村上春樹の文章はただ読みやすいだけではありません。軽快なテンポでリズミカルな点も、村上春樹の文章が優れているファクターの1つです。

たとえば、次の文章。

 僕は念入りに顔を洗い、髭を剃り、パンを焼き、コーヒーをわかした。猫に餌をやり、便所の砂をとりかえ、ネクタイをしめ、靴をはいた。そしてバスに乗って工場に行った。工場では象を作っていた。

村上春樹『踊る小人』より

こちらは私が村上春樹作品の中で最も好きな文章です。たったこれだけの文章で、私は村上春樹の文章に打ちのめされました。顔を洗い、髭を剃り、パンを焼き、コーヒーをわかした。猫に餌をやり、便所の砂をとりかえ、ネクタイをしめ、靴をはいた。…まるで唄を歌うように、イメージが頭の中に流れ込んできませんか?

私は村上春樹のことを、目で読むのではなく、耳で聞く作家だと考えています。村上春樹を読むと、音楽を聴くのと似た幸福感が得られます。小説を書く前はジャズ喫茶を経営していたそうですし、音楽に精通している氏だからこそ、こういった文章が書けるのかもしれません。

ちなみに村上春樹よりはやや難しい表現を使っていますが、三島由紀夫も、同じように耳で聞くことのできる稀有な作家のひとりです。

(踊る小人が収録されている短編集。7作品読めます)

都会生活者の理想像が投影された主人公

村上春樹がよく批判される点ですが、村上作品の主人公の行動はやたらオシャレです。本当に日本人か?と思うような行動を取ります。小洒落たバーやレストランに入ったり、洋酒を飲んだり、ダンスを踊ったりします。

もちろんこれらの行動は1つ1つ見ればなんということもありませんが、あからさまに洗練されたハイステータスの都会生活者を演じているという感じが強く、鼻につくことがあります。とくに村上作品の主人公の多くは、どこか悟ったような顔をして、ナルシストじみたところがありますので、ますます「かっこつけた感じ」が出てしまっています。

ヘミングウェイのようなアメリカ人が書いたアメリカ人の主人公の小説ならそれも許されますが、日本を舞台にした日本人の主人公でそれをやると、ちょっとダサイですよね。たとえるなら、日本人が無理して洋画の主人公の真似をしてウインクをするような……。

ですが、村上作品のこの点は私はそこまで嫌ではありません。むしろ好きですし、単純にかっこいいとさえ思います。日中は爽やかに仕事をこなし、仕事が終わったらバーで酒を飲み、ベッドの中でカフカを読む。どうにもわざとらしい行動ですが、独身男性の理想像がそのまま小説に描かれているようで、物語の中でくらいこういった理想を追求してもいいんじゃないかと思いますね。

冒険小説の形式をとった魅力的な長編

文学作品というと主人公の心情だとか哲学だとかに焦点を当てていて、地味でつまらないといったイメージもありますが、村上春樹の長編小説は冒険小説の形式をとっていることが多いため、エンタメ性のある物語を楽しむことができます。

だからこそ村上春樹は純文学という商業的に不利なジャンルにもかかわらず広く読者に支持されているわけですが、私も村上春樹の小説にはいつもワクワクさせられています。

また冒険小説の形式だけでなく、ミステリーやサスペンス、恋愛、ホラーといった要素も作品に含められており、バラエティ豊かな物語が構築されている点も大きな特徴です。

個人が社会の大きなシステムに巻き込まれていくという村上作品全般に通じるテーマは、カフカ的でもあり、カフカ好きな私にはその点もツボですね。

(写真に写り込んだ奇妙な星形の斑紋の羊を探しにいくという話の長編です。私はこれが村上春樹作品の中で一番好きです)

苦手なところは後編で!

村上春樹の好きなところは以上です。苦手なところは後編でお話ししたいと思います!

コメント

  1. […] きなところを述べた前回の記事はこちら)。 […]

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