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食事の魅力は味覚だけではないことを教えてくれる『赤の台所読本』の紹介【Skyrim】

(筆者:カム) ※最後のほうで『赤の台所読本』のネタバレあり

 

今回もスカイリムの話題を。

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スカイリムにはゲーム内で読める数多くの書物があるのはこの記事で書いた通り。

今回はその中で個人的に最高だと思う本『赤の台所読本』を紹介する。

 

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名のある料理人が過去に食べた最高の料理を回想する自伝

作者の名前は「シモクリス・クオ」。スカイリムの世界に存在する帝都の宮廷料理人を務め、皇帝から「最高の食通」と呼ばれたこともある高級料理人だ。

この本では彼がたびたび周囲から聞かれる「今までに食べた最高の料理は何?」という質問に対するアンサーとなる体験が語られる。

そうなると、「今までで一番おいしかった料理」が本で語られるのではないかと普通は思うものだが、シモクリス・クオは、食事は周囲の環境や同席者や気分によって、その喜びが変わると言う。

素晴らしい食事の喜びは、食べ物だけではない── 周囲の環境や同席者や気分によるのである。淡々と作られた丸焼き、または簡単なシチューを本当に愛している人と一緒に食べれば、それは心に残る食事である。素晴らしいフルコースのご馳走を、少々気分が悪いときにつまらない同席者と一緒に食べたなら、すぐに忘れるか嫌悪とともに記憶に残るであろう。

(『赤の台所読本』より)

つまり、食事の体験の質は「味」だけでなく、その時の気分や周囲の状況などのあらゆる要素によって決定されるものであるということ。

私はこの記述を読んで「スカイリムってなんてタメになるゲームなんだろう!!」とひそかに感動したことを今も覚えている。

確かにいくらおいしい料理でも、嫌いな人と食べておいしく感じるはずがない。最高の料理は、最高のシチュエーションにあってこそ最高たり得るのだろう。

食事の前後や食事中の経験によって記憶に残る料理

シモクリス・クオは、食事の体験の質には、食事の前後、および食事中の経験も関係することがあると語る。

そこで本著では、シモクリス・クオ自身が各地で体験した、「食前の経験から記憶に残った料理」、「食後の経験から記憶に残った料理」、「食前・食後・食中の経験から記憶に残った料理」の3つのケースが語られる。

いずれも紹介される料理は、スカイリムの世界独自のもので、私たちはそれがどんな料理なのかを想像してみることしかできない(たとえば、『ノルド風イノシシの丸焼き』や『メリンガーの切り身』など)。

しかし、詳細な種類はわからなくても、肉や魚、ワインなど、おおまかなイメージはつかめるため、なんとなくこういう料理なんだろうなという想像はできる。そこにシモクリス・クオの経験が合わさり、実に素晴らしい料理であったことがありありと感じられる内容となっている。

(スカイリムでは料理もできるし、料理が並んだ机に腰かけることもできる。あのでっかい鹿肉にかぶりつきた~い!)

最後に紹介される料理の秘密

※ここからネタバレ(というよりは、こういうこと?っていう推測)

 

本著で最後に紹介される料理がどんなものかははっきりと書かれていない。というのも、シモクリス・クオ自身、それが何の食べ物なのかよくわかっていないからだ。

書かれているのは、「湯気を立てている塊肉であること」、「芳醇な香りがすること」「柔らかいこと」、「幻想的で甘い味がすること」くらい。

結局、シモクリス・クオはその肉の正体がわからず、しかし素晴らしい食事体験によって味覚の大覚醒をとげ、後に料理人を志すきっかけになったと語る。

この肉の正体だが、スカイリムで読める別の書物にヒントがある。

それは『クレイトリー家の伝説』。シェイディンハルという都市の亡霊屋敷を舞台にした戯曲で、この中に屋敷の家族が怪物に皆殺しにされたという事件が登場人物から語られるシーンがある。

偶然の一致か、シモクリス・クオが例の肉を食べた場所も、実はシェイディンハルにある屋敷。

そして、屋敷の家族を殺した怪物は、その家族たちを「半分」食べたのだそう。

ということは、シモクリス・クオがシェイディンハルの屋敷で食べた肉は……

考えてみると、ぞっとする。

余談

(サニーが表紙の『トリコ』単行本。集英社より)

ちなみに食事の魅力は味だけじゃない!という話は少年ジャンプで連載されていた漫画『トリコ』にも出てくる。

それは美食屋四天王の一人「サニー」が、 料理は「調和」が大事として、食器や店の内装、音楽などにもこだわる様子が見られるシーン。

料理の真髄を追求する者には、共通する理念なのかもしれない。

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