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純文学作家になるための新人賞の各募集要項まとめ【2020年】

純文学作家になるには、基本的に新人賞を受賞する必要がある。

仕事などで編集者と繋がりがあり、その縁でデビューするなど、一部例外もあるが(たとえば、『火花』で芥川賞を受賞した又吉直樹は、もともと様々な作家活動をしており、プライベートで訪れた文学フリマで出会った編集者に依頼されて『火花』を書いたとのこと)、出版社業界に近い場所に身を置いているわけでもなければ、公募新人賞に応募するのが、純文学作家になる一番の早道といえるだろう。

そこでこの記事では、これから作家を目指す人用に、2020年の主要な純文学新人賞の募集要項をまとめた。

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五大文芸誌の公募新人文学賞

日本で五つの指に入る文芸誌(新潮/文藝/すばる/文學界/群像)を「五大文芸誌」と言うが、これら5つの文芸誌は毎年公募新人文学賞を主催している。大手の文芸誌であるだけに、これらの新人賞からデビューした方が順調なキャリアを歩める可能性が高い。また五大文芸誌に作品が載った場合、新人作家の登竜門である「芥川賞」にノミネートされやすくなるのも大きなメリット。
芥川賞ってどんな賞?どんな小説が受賞するの?賞の特徴を解説

なおこれら五大文芸誌の公募新人文学賞は、いずれも自作の未発表・未応募作品のみが対象とされている。

新潮新人賞

締め切り:2020年3月31日(当日消印有効)
枚数:250枚以内(400字換算)
WEB応募:不可
賞金:50万円

公式サイト→https://www.shinchosha.co.jp/prizes/shinjinsho/

新潮社主催の新人文学賞。最近では芥川賞作家の石井遊佳(第158回)や古川真人(第162回)、また国内外で高い評価を受けている中村文則などの作家は、本賞からデビューしている。

本賞の特徴はなんといっても応募枚数に下限がないこと。つまり短編でも可で、短編小説が売りづらくなっている昨今の小説界では、非常に珍しい新人賞である。ただし、短編で本賞を受賞したケースはほとんどないので、受賞確率は低い点に注意。またWEB応募はできない。

文藝賞

締め切り:2020年3月31日(当日消印有効)
枚数:100枚以上400枚以内(400字換算)
WEB応募:可
賞金:50万円(雑誌掲載の原稿料込み)

公式サイト→http://www.kawade.co.jp/np/bungei.html#script

河出書房新社主催の新人文学賞。輩出作家には、政治家の田中康夫や、当時19歳で芥川賞を受賞した綿矢りさ、数々の文学賞受賞歴を持つ山田詠美、星野智幸らがいる。

本賞の特徴はなんといっても、枚数上限が「400枚」と長編の作品も受け付けていること。最初から長編作家を目指したい人は本賞が向いているだろう(ただし、長編作品は芥川賞候補に選ばれない点に注意)。また2020年度からWEB応募ができるようになった。

中高生など低年齢の応募者も多く受賞していること(なんと第42回受賞者の三並夏は当時15歳の中学3年生)、複数の作家が同時受賞する回が多いこと(3作品が同時受賞した回もいくつかある)から、五大文芸誌の新人賞の中では最も受賞しやすい賞といえるだろう。そのわりに芥川賞作家も多く輩出しているので、若い応募者は本賞への応募を積極的に行うといいかもしれない。

すばる文学賞

締め切り:2020年3月31日(当日消印有効)
枚数:100枚程度から300枚以内(400字換算)
WEB応募:不可
賞金:100万円

公式サイト→http://subaru.shueisha.co.jp/bungakusho/

集英社主催の新人文学賞。輩出作家には、当時20歳で本賞と芥川賞をW受賞した金原ひとみや、直木賞作家の佐藤正午らがいる。なお、本賞からデビュー後、芥川賞をとった作家は金原ひとみ以外にほとんどいない(ゼロ? ただし、他賞からデビューした作家の別の作品が雑誌「すばる」に載り、芥川賞を受賞したケースは複数ある)。

本賞の特徴は、賞金が他の五大文芸誌と比べて倍額に設定されていること。また文藝賞ほどではないが、枚数上限が「300枚」と多く、長い作品も応募できる。ただし新潮新人賞と同様、WEB応募はできない。

文學界新人賞

締め切り:2020年9月30日(当日消印有効)
枚数:70枚以上150枚以内(400字換算)
WEB応募:可
賞金:50万円

公式サイト→https://www.bunshun.co.jp/mag/bungakukai/bungakukai_prize.htm

文藝春秋主催の新人文学賞。芥川賞作家で政治家の石原慎太郎は本賞の第一回を受賞している。またSF作家でもあり前衛的な作風を持つ円城塔や、その年に読んだ本で最も面白かったものを選ぶ「絲山賞」を毎年ブログで発表している絲山秋子も、本賞からデビューしている。

本賞の特徴は受け付けている作品枚数の幅が小さいこと。特に上限が「150枚」と少なく、長い作品は送れない。ただし、100枚程度もあれば芥川賞候補に選ばれる枚数基準を満たすため、短めのデビュー作で芥川賞を狙いたい人にはちょうどいい新人賞といえるかもしれない。また群像新人文学賞と同じく、締め切り日が他の新人賞と被らない点もメリット。

群像新人文学賞

(※1/22現在、2020年の公式募集情報は未公表のため、情報は例年通りだった場合) 

締め切り:2020年10月31日(当日消印有効)
枚数:70枚以上250枚以内。(400字換算)
WEB応募:可
賞金:50万円(受賞作複数の場合、分割)

公式サイト→http://gunzo.kodansha.co.jp/awards

講談社主催の新人文学賞。村上龍や村上春樹、多和田葉子、阿部和重など、現代日本文学を代表する数々の作家が本賞でデビューしており、輩出作家のネームバリューでいえば、五大文芸誌の中でも群を抜く新人賞である。

本賞の特徴は締め切りが10月31日と、他の五大文芸誌の新人賞と締め切り日が被らないこと(新潮・文藝・すばるの新人賞はいずれも締め切り日が3月31日)。1年間に複数の賞に応募したい場合は、群像新人文学賞の締め切り日設定がありがたく感じられるはずだ。

五大文芸誌以外の公募新人文学賞

五大文芸誌以外にも様々な公募新人文学賞が開催されている。なお特筆しないかぎり、募集原稿はすべて自作、未発表・未応募のものに限る。

太宰治賞

(※1/22現在、2020年の公式募集情報は未公表のため、情報は例年通りだった場合)

締め切り:2020年12月10日(当日消印有効)
枚数:50枚以上300枚以内(400字換算)
WEB応募:不可
賞金:100万円

公式サイト→https://www.chikumashobo.co.jp/blog/dazai/

三鷹市・筑摩書房共同主催の新人文学賞。輩出作家には、歴史小説家としても名高い吉村昭や、現代日本文学を代表する作家である宮本輝、2019年に芥川賞を受賞した今村夏子らがいる。

本賞は応募枚数の下限が「50枚」と少なめ。そのため、新潮新人賞と同様、短編の応募も可能。また賞金額もすばる文学賞と並ぶ高額となっている。

五大文芸誌の新人賞ではないが、それらの新人賞とほぼ変わらない応募規定の上に、本賞からデビューして出世した作家も多いので、五大文芸誌の賞に本賞を加え、「六大新人文学賞」と呼んでもいいだろう。

大阪女性文芸賞 ※女性限定

締め切り:2020年5月末日(当日消印有効)
枚数:80枚以内(400字換算)
WEB応募:不可
賞金:30万円(佳作は5万円)

公式サイト→http://www2.odn.ne.jp/~ojb/bungeisyo.html

大阪女性文芸協会主催の新人文学賞。受賞作品は文芸誌「鐘」に掲載される。

本賞は日本に居住する女性のみ応募可。また同人誌掲載作品の応募もできる(応募締め切り半年以内に発表したものはNG)。短編を中心とした賞である。

織田作之助青春賞 ※24歳以下限定

(※1/22現在、2020年の公式募集情報は未公表のため、情報は例年通りだった場合)

締め切り:2020年8月31日(当日消印有効)
枚数:30枚以内(400字換算)
WEB応募:不可
賞金:30万円

公式サイト→https://www.mainichi.co.jp/event/culture/odasaku/

織田作之助賞実行委員会(毎日新聞社などの団体で構成)主催の新人文学賞。受賞作品は文芸誌「三田文学」に掲載される。

本賞の特徴は年齢制限があること。24歳までの年齢の人のみ応募できる。また18歳以下の応募者には「特別賞」が与えられることも。また本賞は短編専門の賞である。

北日本文学賞

(※1/22現在、2020年の公式募集情報は未公表のため、情報は例年通りだった場合)

締め切り:2020年8月31日(当日消印有効)
枚数:30枚以内(400字換算)
WEB応募:不可
賞金:100万円(選奨は30万円)

公式サイト→https://webun.jp/card/16094/1

北日本新聞社主催の新人文学賞。受賞作品は1月1日の「北日本新聞」に掲載される。

本賞は短編小説の公募賞であるにもかかわらず、賞金額が高めに設定されている。また応募者の年齢層が高く、高齢の受賞者も多い。

江古田文学賞

(※1/22現在、2020年の公式募集情報は未公表のため、情報は例年通りだった場合)

締め切り:2020年8月31日(当日消印有効)
枚数:50枚以上100枚以内(400字換算)
WEB応募:不可
賞金:20万円

公式サイト→http://www.nichigei-bungei.info/ekoda_literary/?p=372

江古田文学会主催の新人文学賞。 受賞作品は文芸誌「江古田文学」に掲載される。

長めの短編または短めの中編を対象とした賞。

やまなし文学賞

(※1/22現在、2020年の公式募集情報は未公表のため、情報は例年通りだった場合)

締め切り:2020年11月30日(当日消印有効)
枚数:40枚程度(400字換算)
WEB応募:不可
賞金:100万円(佳作は30万円)

公式サイト→https://www.bungakukan.pref.yamanashi.jp/prize/

山梨県・山梨県立文学館主催の新人文学賞。 受賞作品は山梨日日新聞の紙面および電子版に掲載される。

北日本文学賞と同様、短編専門の賞だが、賞金額が高いのが特徴。

応募する賞の選び方

応募する賞は応募資格を満たしているものなら基本何でもいいと思われる。ただデビュー後のキャリアのことを考えるなら、やはり五大文芸誌(と、太宰治賞)のいずれかの新人賞に応募するのが無難な選択だ。

もっともこれらの新人賞は他の認知度の低い新人賞と比べて応募者が多くなるので、競争率は高い。その分受賞した時のリターンは大きいわけだが、いずれにせよ実力とコンスタントに作品を書く能力がなければ、結局デビュー後に生き残れない点を考えると、デビューする賞の違いなど些細なものかもしれない(たとえば、『abさんご』で第148回芥川賞を受賞した黒田夏子は早稲田文学新人賞からデビューしている)。

また50枚未満の短編で応募したい場合は、五大文芸誌(と、太宰治賞)の中だと新潮新人賞しか選択肢に入らない。他の小規模の新人文学賞にも目を向ければ、50枚未満の短編も受け付けている賞が数多くあるので、応募の選択肢が広がるメリットがある(しかも賞金額が高いものも多い)。

とはいえ新人賞への応募は傾向と対策を考えてガチガチになって行うよりも、気楽にお祭り感覚で行った方が精神衛生的に良いし、小説を書くという行為も長続きするはずだと筆者は考える。そういうわけで、あまり考えすぎず、楽しく小説を書いて投稿してみることをおすすめしたい。

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